特殊詐欺の被害が過去最悪1816億円|ギフトカードの手口は5.5%
見覚えのない請求や勧誘が届いたときは、詐欺・注意喚起の記録で、 同じ手口がいま出回っていないか確かめられます。
「うちの家族は大丈夫」「自分はさすがに引っかからない」。 そう思っていても、実はこれ、他人事ではないんですよね。
警察庁の暫定値によると、2026年上半期(1〜6月)の特殊詐欺の被害額は約1816億円で、上半期として過去最悪になりました。前年同期比で約619億円の増加です。 数字だけを見てもピンと来にくいのですが、働く世代も、その親世代も、じわじわ巻き込まれているということです。
数字で見る「2026年上半期」の特殊詐欺
まず、警察庁が公表した暫定値を並べます。
- 被害額:約1816億円(2026年上半期=1〜6月)。上半期としては過去最悪です。
- 前年同期比:約619億円の増加です。減るどころか、大きく増えています。
- 一方で、コンビニでの高額・大量の電子マネー購入希望者への声掛けなど、関係事業者の水際対策で9,685件・約108.3億円の被害を阻止した、という報告もあります。阻止率は30.9%です。
被害が増えている一方で、レジの店員さんの一声で止まっているお金も、これだけあるわけです。声かけや購入制限の背景は、レジで「何にお使いですか?」と聞かれたらで整理しています。 つまり、「おかしいぞ」と気づけば、支払う直前でも止められるということです。
お金は、どうやって渡されているのか
警察庁は「被害金がどうやって渡されたか」を、形態べつに集計しています。2026年上半期の内訳は、こうなっています。
| 渡し方 | 全体に占める割合 |
|---|---|
| 振込型 | 55.7%(-7.7ポイント) |
| 暗号資産(送信型+暗号資産への振込) | 16.8%(+4.7ポイント) |
| 現金手交型 | 12.7%(+3.2ポイント) |
| キャッシュカード手交・窃取型 | 6.6%(-2.3ポイント) |
| 電子マネーコード伝達型 | 5.5%(-0.1ポイント) |
ギフトカードの番号を伝えさせる形は、全体の5.5%です。いちばん多いのは振込で、半分以上を占めます。
「ギフトカード=詐欺の主流」というイメージは、数字とは少しずれています。
いま急に伸びているのは、暗号資産を送らせる形のほうです。認知件数は前年同期比で81.6%増、割合も4.7ポイント上がりました。
つまり、「ギフトカードを買わせる手口」だけを警戒していると、いま伸びている手口を見落とします。覚えておきたいのは、どの券種かということより、「取り戻しにくいものを指定してくる」という共通点のほうです。
なぜ、詐欺の支払いに「ギフトカード・電子マネー」なのか
詐欺の犯人は、現金振込やクレジットカードを避けて、わざわざギフトカードや電子マネーを指定してきます。そこには、はっきりした理由があります。
- 本人認証がゆるい:クレジットカードと比べると、購入時に「誰が買ったか」を確かめる仕組みが軽くなっています。
- 追跡が難しい:番号(コード)さえ手に入れば使えてしまうため、お金の流れを追いにくくなっています。
- 取り戻しにくい:不正に使われても、被害に遭った側へ払い戻されにくいのが実情です。
要するに、犯人からすると「足がつきにくく、渡させたら取り返されにくい」という、都合のいい性質があるんですね。
そしてこの3つは、暗号資産にもそのまま当てはまります。だから、いま伸びているのが暗号資産送信型なのです。指定してくるものが変わっても、選ばれる理由は変わりません。
「ギフトカードで払って」は、支払いではなく詐欺のサイン
具体的な手口はとてもシンプルです。 「未払いの料金がある」「アカウントが不正利用された」「パソコンが故障している」。犯人はこう言って、相手の不安をあおります。そのうえでコンビニでギフトカードを買わせ、その番号を送らせます。これが典型的なパターンです。
ここで思い出してほしいのが、ギフトカードの本来の使い道。 ギフトカードは、その発行企業の商品やサービスにしか使えません。料金の支払い、税金、還付、示談金、そういったものに使えるものではないんですね。
だから、覚えておくのはこの一行だけで大丈夫です。
手口ごとの見分け方は「ギフトカードで払って」は詐欺のサインにまとめています。あわせて読むと、いざというとき判断が早くなります。
「渡す前」に、できること
詐欺は、焦らせて考える時間を奪ってきます。逆に言えば、番号を渡す前にワンクッション置くだけで、たいていは止められるということです。難しいことは要りません。
家族と、ひとこと話しておく
特殊詐欺は、本人だけでなく離れて暮らす親世代が狙われることも少なくありません。 「もし『ギフトカードで払って』と言われたら、一度こっちに連絡してね」。 この一言を家族で共有しておくだけで、支払う直前のブレーキになります。
見守りの具体的なコツは高齢の家族を詐欺から守る見守りのポイントに整理しました。帰省のタイミングなどに、さらっと話しておけると安心です。
困ったとき・迷ったときの相談先
「もしかして詐欺かも」「番号を送ってしまったかもしれない」と感じたら、ひとりで抱え込まないでください。
- 消費者ホットライン「188(いやや)」(全国共通・最寄りの消費生活センターにつながります)
- すでに送ってしまった・入金してしまった場合の対処は「入金されない・詐欺かも」と思ったときの対処法に整理しています。
早く動くほど、できることが残っています。「気づいた時点」が、いちばん早いタイミングです。
出典
- 警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(警察庁・SOS47・2026年7月31日公表・2026年8月14日閲覧)。被害額1,816.2億円、認知件数22,031件、交付形態別の割合、水際阻止9,685件・108.3億円は、いずれもこの資料によります。
まとめ
- 2026年上半期の特殊詐欺の被害額は約1816億円で、上半期として過去最悪でした(警察庁の暫定値・前年同期比 約619億円増)。
- 被害金の渡し方でいちばん多いのは振込型で55.7%、次いで暗号資産送信型が16.8%です。ギフトカードなどの電子マネーコード伝達型は5.5%でした。
- ただし、割合はほぼ横ばい(-0.1ポイント)です。特殊詐欺そのものの認知件数が18.3%増えているため、件数としてはむしろ増えています。
- 一方で、水際対策によって9,685件・約108.3億円の被害が阻止されています。「おかしい」と気づけば、支払う直前でも止められます。
- ギフトカードが狙われるのは、本人認証がゆるく、追跡が難しく、取り戻しにくいからです。この3つは暗号資産にも当てはまります。
- ですから、「ギフトカードで払って」「番号を送って」と言われたら、支払いを装った詐欺を疑ってください。
覚えておきたいのは、どの券種かということより、「取り戻しにくいものを指定してくる」という共通点のほうです。指定されるものは変わっても、理由は変わりません。 とくに増えているのがSNSから入る投資・ロマンス詐欺という類型で、その具体的な手口はSNS型投資・ロマンス詐欺が過去最悪|「ギフトカードで」を求められたらにくわしくまとめています。 正規の売買と詐欺の見分けに迷ったら、アップルギフトカード買取・換金率の比較もあわせて参考にしてください。
参考(出典)
- 警察庁 SOS47 特殊詐欺対策ページ(警察庁)
- 被害金等交付形態別の内訳・呼称の変更(警察庁 広報資料「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」 令和8年7月30日・p.4)
- 特殊詐欺被害1816億円 過去最悪(2026年上半期・報道)(山陰中央新報)