詐欺の時効は何年か|刑事は7年、民事は3年と20年、数え始める日はいつか
「もう何か月も前の話だから、いまさら言っても仕方がない」。帰省して、親が詐欺に遭っていたと分かったとき、この一言で相談をやめてしまうことがあります。
このページでは、ギフトカードで払わされた被害に返金の制度が使えるのか、そして詐欺の時効が何年で、いつから数えるのかを、条文をそのまま引用して整理します。数字が分かると、諦めるかどうかを気分で決めなくて済みます。
ギフトカードの被害は、振り込め詐欺救済法に乗らないことがあります
被害の回復として知られている制度に、振り込め詐欺救済法があります。この法律が対象にしている形を、条文で確かめます。
この法律において「振込利用犯罪行為」とは、詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為であって、財産を得る方法としてその被害を受けた者からの預金口座等への振込みが利用されたものをいう。
この法律が対象にしているのは、預金口座等への振込みが利用されたものです。コンビニでギフトカードを買って番号を伝えた形は、この振込みに当たりません。犯人の口座を凍結して、そこに残っているお金を被害者に分ける、という仕組みなので、口座を通っていない被害は同じようには扱えません。
なお、ギフトカードが買取サイトに持ち込まれた場合の扱いは、別の話です。取引の記録が残るため、経路をたどれることがあります。詳しくは買取で「詐欺かも」と思ったときの対処法にまとめています。
時効は2つあって、目的が違います
「時効」と一つの言葉で呼ばれていますが、中身は別のものが2つ入っています。
| 刑事の公訴時効 | 民事の消滅時効 | |
|---|---|---|
| 何のための期限か | 検察官が起訴できる期限 | 被害者が損害賠償を求められる期限 |
| 詐欺の場合 | 7年 | 知った時から3年/詐欺の時から20年 |
| 数え始める日 | 犯罪行為が終わった時 | 損害と加害者を知った時/不法行為の時 |
| 動かす人 | 警察・検察 | 被害者本人(または家族・代理人) |
| 根拠 | 刑法246条・刑事訴訟法250条 | 民法724条 |
片方が過ぎても、もう片方が残っていることがあります。刑事の7年が過ぎていても、相手が誰か分かったのが最近であれば、民事の3年はこれから始まります。
刑事の時効は7年です
まず、詐欺という罪がどれくらいの重さで書かれているかを見ます。
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
次に、その重さに対応する公訴時効の年数です。
三 長期十五年以上の拘禁刑に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の拘禁刑に当たる罪については七年
五 長期十年未満の拘禁刑に当たる罪については五年
詐欺は「十年以下の拘禁刑」なので、四号の「長期十五年未満の拘禁刑に当たる罪」に当たります。公訴時効は7年です。
数え始める日
時効は、犯罪行為が終つた時から進行する。
数え始めるのは、被害に気づいた日ではありません。行為が終わった日です。何度も繰り返し払わされていた場合、いつが「終わった時」に当たるかは事案によって変わります。ここは窓口で経緯を並べて確かめてください。
相手が海外にいた期間は止まります
犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。
海外に出ていた期間のぶん、7年の到達は先に延びます。「7年経ったから終わり」と自分で結論を出さなくて構いません。
民事の時効は3年と20年です
賠償を求める側の期限は、民法にあります。
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
読み方で大事なのは、一号が「損害及び加害者を知った時から」と書いていることです。
| 状況 | 一号(3年)の扱い |
|---|---|
| 相手が誰か分からないまま | まだ数え始めていません |
| 相手が特定できた | その時から3年です |
| 被害があったことに気づいていない | まだ数え始めていません |
特殊詐欺は相手が誰か分からないまま時間が過ぎることが多く、何年も前の被害だから3年を過ぎている、とは限りません。一方、二号の20年は知っているかどうかに関わらず進みます。
時効より先に来るのは、記録が消えることです
年数が何年残っていても、話を裏づけるものは先に無くなります。
| 消えるもの | 目安 |
|---|---|
| 店舗の防犯カメラ | 保存期間を過ぎると上書きされます |
| 通信事業者の記録 | 保存期間があります |
| レシートの感熱紙 | 印字が薄くなり、読めなくなります |
| 本人の記憶 | 日付と順序から先に曖昧になります |
| 相手のサイト・アカウント | 消されます |
期間はいずれも事業者や機器によって違うので、断定はできません。共通して言えるのは、待つ理由がないということだけです。
数字を知る意味
時効の年数を調べる人は、たいてい「もう遅いのか」を確かめようとしています。
刑事は7年、民事は知った時から3年です。そのどちらも、思っているより後ろにあることが多い、というのが条文を並べて分かることです。相手が分からないまま過ぎた時間は、民法724条1号の3年には入っていません。
出典
- 刑法(明治四十年法律第四十五号)第246条(e-Gov法令検索・2026年8月14日閲覧)
- 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第250条・第253条・第255条(e-Gov法令検索・2026年8月14日閲覧)
- 民法(明治二十九年法律第八十九号)第724条(e-Gov法令検索・2026年8月14日閲覧)
- 犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(平成十九年法律第百三十三号)第2条(e-Gov法令検索・2026年8月14日閲覧)