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「闇バイト」でギフトカードを買わされる|「コードを送るだけ」は犯罪の実行役です

公開:2026/8/6 / 著者:ギフトカード総研編集部かりん

「ギフトカードを買って、コードを送るだけ。1件10万円」、そんな募集を見かけたら、それはアルバイトではありません。

警察庁は、こうした募集を「犯罪実行者の募集」とはっきり書いています。「闇バイト」という言葉が広まりましたが、その中身は、切り捨てを前提にした実行役の調達です。

あわせて、ギフトカードの買取サイトを比較している立場から、「他人のコードを売ってくれ」と頼まれたときの話も書きます。

🔰 ギフトカードを買うだけなら、犯罪にはならない気がするんですが…
🍎 買う行為そのものより、そのお金がどこから来たかが問題になります。だまし取ったお金を、追いかけにくい形に変えます。そこが役割として求められているんです。

なぜ、ギフトカードが使われるのか

詐欺でだまし取ったお金は、そのままでは足がつきます。番号を伝えるだけで価値が動くギフトカードは、その足を消す手段として使われます。

2026年上半期の特殊詐欺で、被害金が電子マネーコード伝達型(ギフトカードなどの番号を伝えさせる形)で渡されたのは全体の5.5%でした。割合としては多くありませんが、件数としては増えています。詳しくは詐欺の最新ニュースにまとめています。

この5.5%を実際に動かしているのが、募集で集められた末端です。

募集の言い回しは、記録されている

警察庁は、検挙された事例から実際に使われた募集文言を集めています。そのまま引用します。

⚠️ 警察庁が確認した募集の文言「高額収入」「高額バイト」「安全に稼げます」「1件10万〜、2件いけたら20万」「犯罪ではありません」「学生可能」「初心者大歓迎」「保証金なし」「リスク無し」「詳しくはDM」「ホワイト案件」「高校生でもいける」「詐欺ではありません」「誰にでもできる簡単な仕事」

「犯罪ではありません」「詐欺ではありません」と書いてあること自体が、特徴として記録されています。ふつうの求人は、わざわざそう書きません。

募集広告の特徴も整理されています。

4つの段階で、抜けられなくなる

警察庁の資料は、応募から検挙までを4段階にまとめています。もっとも多いパターンです。

1
SNSで「高額報酬」などを検索して応募します。検索に使われた語として「闇バイト」「裏バイト」「UD(受け子・出し子)」「高額報酬」「運び」が記録されています。自分から探す以外に、先輩や友人に誘われたケースも一定数あります。
2
匿名性の高いアプリに移されます。一定時間で履歴が消えるアプリ(Telegram、Signal など)を強制的に入れさせ、以降のやりとりをそこで行うよう指示されます。
3
個人情報を送らされます。「登録に必要」と言われ、学生証・運転免許証・マイナンバーカード・住民票などを送信させられます。顔写真を一緒に送らされた事例家族や交際相手の情報まで聞き出された事例が記録されています。
4
断ると脅されます。ここで初めて仕事の中身が伝えられます。断ろうとすると、送った個人情報を使って脅されます。「自宅に押しかける」「家族から狙う」、実際の供述です。

分かれ目になるのは、3つめの「個人情報を送らされる」段階です。身分証を送る前であれば、相手の手元には、あなたの情報がまだ1つも渡っていません。

資料に載っていない入口:「信頼している人の紹介」

上の4段階は「自分から応募した人」を前提にしています。実際には、応募しなくても始まります。

自分から応募していない人にとって、入口になるのは、信頼している人からの紹介です。

1
信頼している人から紹介されます。知らない相手からのDMではありません。だから警戒が働きません。
2
その人自身も、実はそんなに親しい相手ではないことがあります。紹介は連鎖しています。あなたが信頼しているのは「紹介してくれた人」であって、その先の相手ではありません。
3
「あの人の紹介だから、このくらいやってあげよう」。ここが、すべての入口です。判断しているのは仕事の中身ではなく、紹介してくれた人への義理です。
4
「いいよ」と言ったあと、やっぱりやめたいと思います。その時点で、もうやめられなくなっています。

紹介から入った人は、甘い言葉に誘われたわけではありません。高額報酬の募集を、自分で探したわけでもありません。紹介してくれた人への義理を少し見せただけで、犯罪の実行役という位置に立たされます。

① 断れなくなるのは、2回目です(編集部取材)

相手ちょっと手伝ってくれない?
自分いいですよ

実行後

相手また手伝って
自分もういやです
相手お前断れると思ってるのか
相手お前がやったことわかるよな

1回目は、本当にただの頼みごとに見えます。断れなくなるのは2回目です。

1回引き受けた事実が、そのまま断れない理由に変わります。脅すために新しい材料を持ってくる必要はありません。あなたが渡した材料で足ります。

② 具体的には、こう誘われます(編集部取材)

相手ちょっと留守番してくれればいいから
相手事務所の電話番でいてくれるだけで日給1万円

時間もあるし、いいかな

自分いいですよ
相手荷物きたら受け取っておいてね

断ろうとすると

自分やっぱり、いやです
相手もう人が動いている
相手お前、弁償できるのか
相手家族も実家も、こっちは知ってるんだぞ

順番に注目してください。誘うときは「留守番」「電話番」だけです。実際にやらされる「荷物の受け取り」が出てくるのは、「いいですよ」と言ったあとでした。

犯罪の言葉は、1つも出てきません。断る理由が見つからない形で頼まれ、中身は引き受けたあとに足されていきます。

※編集部取材。話し手や相手が特定されないよう、金額・時期・場所は書いていません。実際の言葉は、その都度変わります。

この誘い方の構造は、警察庁の資料にある4段階と同じです。一度でも動いたという事実が、断れなくする材料に変わります。警察庁の資料では、その材料は「個人情報」でした。「ちょっと手伝った」という事実そのものでも、同じことが起こります。

⚠️ ここが分かれ目「ちょっとだけ」「一回だけ」に応じた時点で、相手の手元には「あなたが動いた」という事実が残ります。断るときに持ち出されるのは、そこです。頼まれた時点で断ります。それが、いちばん軽い断り方になります。

怖いと思ったら、その場で110番

いちばん悪い動き方は、自分で何とかしようとすることです。

弁償しようとする、相手と話し合って収めようとする、誰にも言わずに一回だけ済ませる、どれも、次の一回を呼びます。相手は、あなたが自力で解決しようとしている間だけ、優位に立てます。

やることは1つだけ怖い、と思った時点で110番。脅されている・家族のことを出された・断ったのに引き下がらない、そう感じたら、その場で警察です。自分で何とかしようとしないでください。急ぎでなければ #9110(警察相談専用電話)でも構いません。

報酬は、多くの場合支払われていません

警察庁の資料には、報酬をめぐる事例が載っています。

「危険を冒したのに報酬が支払われない」「密告されて逮捕される」、警察庁は、これを「使い捨て」という言葉で説明しています。

なぜ優しくするのか資料には、グループの手口として「お前が一番かわいい後輩」「お前しかいない」「お前だけ特別」といった言葉をかけてくる、と書かれています。ただし離脱の意思を示した途端に態度が変わるとも。優しさは、留めておくための道具として使われています。

募集する側も、職業安定法に違反します

「闇バイト」の募集は、それ自体が法律に触れます。

「国民を詐欺から守るための総合対策」(令和6年6月18日・犯罪対策閣僚会議決定)には、犯罪の実行者を募集する情報の発信は、職業安定法第63条第2号に規定する違法行為に該当すると明記されています。

同じ文書は、こうした情報を次のように定義しています。

「闇バイト」、「裏バイト」等と表記したり、仕事の内容を明らかにせずに著しく高額な報酬の支払いを示唆したりして犯罪の実行者を募集する投稿

「仕事の内容が分からないのに、報酬だけが高い」という形が、定義に入っています。判断に迷ったときは、その募集文が定義に当てはまるかどうかを見てください。

なお、応募した側も検挙されます。警察庁は「たった一度でも手を染めれば最後には必ず警察に検挙される」と書いています。一度関わった人は、脅しによって、逮捕されるまで使われ続けます。

買取サイトを使う側として、知っておきたいこと

「自分のものではないコードを、あなたの名前で売ってきてほしい」、この頼まれ方をされたら、いったん止まってください。相手が知人や先輩であっても、その場で引き受けないでください。

⚠️ 断っていい依頼・自分が買っていないカードのコードだけを渡され、売ってくるよう頼まれる
・入手経路を「聞かないでほしい」と言われる
・売った代金を別の口座に送るよう指示される
・報酬として売却額の一部をもらう約束になっている

買取サイトは本人確認を行い、振込先は申込者本人の口座です。つまり、代わりに売っても、そのお金を頼んだ相手に渡す手段がありません(本人確認で用意するもの)。

あなたの名前で売れば、買取サイトの記録に残る名前は、あなたのものになります。

頼まれたときに何が起きるか、断り方まで含めて「代わりに売ってきて」と頼まれたらにまとめました。

家族や友人が応募していそうなとき

早いほど、選べる道が残ります。

警察庁の資料には、抜け出せた事例も載っています。

検挙された人たちの多くが、取り調べで「家族や警察に相談すればよかった」と話しています。

相談先警察相談専用電話 #9110(緊急でない相談)/緊急のときは 110。少年の場合は、各都道府県警察の少年相談窓口・少年サポートセンターでも相談できます。すでに関わってしまった場合でも、早く相談するほど選択肢が残ります。

闇バイトで奪われるもの、失うもの

お金がある人は、だまされると財産を失います。

お金がない人は、誘われるとあたりまえの生活を失います。

詐欺の被害者が失うのは、お金だけではありません。その方がこれから送るはずだった人生も、一緒に失われます。

加害者になった側も、自分の人生を失います。

まとめ


参考(出典)

よくある質問

Q「ギフトカードを買ってコードを送るだけ」の仕事は、何が問題ですか?
Aその仕事の実体は、詐欺でだまし取ったお金を、足のつきにくい形に変える作業です。買う・送るという行為自体は簡単でも、詐欺グループの末端として加担したことになります。警察庁は、こうした募集を「アルバイト」ではなく犯罪実行者の募集と位置づけています。
Q犯罪だと知らずに応募した場合はどうなりますか?
A警察庁の実態調査によると、応募者には「最初から犯罪と知りつつ加担する人」と「認識が薄いまま、個人情報を盾に脅されて仕方なく加担する人」の2種類があります。ただしどちらも検挙されています。知らなかったことが、そのまま免責になるわけではありません。
Q個人情報を送ってしまいました。もう抜けられませんか?
A抜けられます。警察庁の資料には、怖くなって相談し、警察に保護された事例が複数載っています。検挙された人たちの多くが「もっと早く相談すればよかった」と話しています。脅されている状態こそ、ひとりで抱えないでください。#9110(警察相談専用電話)へ。
Q頼まれてギフトカードを買取サイトに持ち込むのは大丈夫ですか?
A自分のものでないコードを売る依頼は、断ってください。買取サイトは本人確認を行い、申し込むのも入金を受け取るのもあなたになります。「あなたの名前で売ってくるだけでいい」という頼み方をされたら、それ自体が危険な合図です。
Q家族が応募していそうです。どうすればいいですか?
A早いほど選択肢が残ります。警察庁の資料には、母親が相談したことで所在不明だった息子が保護された事例があります。相談先は#9110、少年の場合は各都道府県警の少年相談窓口・少年サポートセンターです。