他人のギフトカードを自分の名義で売ると|代理で売る前の確認
「このギフトカード、代わりに売ってきてくれない?」
頼まれ方は、たいてい自然です。「自分は口座を持っていない」「登録が面倒だから」「本人確認が通らなくて」、理由も添えられます。相手が知人や先輩なら、断る理由のほうが見つかりません。
しかし、買取サイト側で何が起きるかを知っていると、判断が変わります。
何罪にあたるかは、事案によって変わります。
買取サイトで、実際に起きること
申し込むと、一般に次のことが行われます。
本人確認も、本人名義の口座への振込も、取引の記録も、あなたに対して行われます。頼んだ相手には、何も行われません。
なお、もらったカードや、相続で引き継いだカードは話が別です。自分のものになっている以上、自分のカードを売っているだけだからです。遺品や整理品として出てきた場合の確認の順番は、遺品や整理品からアップルギフトカードが出てきたらにまとめました。
「番号を持っている=権利者」ではありません
ギフト券をめぐる裁判で、「番号を知っているだけで正当な権利者と推定される」という主張が実際にされたことがあります。判決は、この主張に理由がないとしました(東京地判 令和3年6月17日)。
「何人も自己が有する以上の権利を譲渡することはできない」という原則が、そのまま働きます。
だから、頼まれてコードを預かっても、あなたが権利者になることはありません。番号は手元に来ますが、権利は来ません。それでいて、申し込んで本人確認を受けて入金を受け取るのは、あなたです。番号だけが手元に来て権利は動かないという形が、引き受けないほうがよい理由です。
「聞かれないから大丈夫」ではありません
入手経路は、ふつう質問されません。質問がないまま、手続きは進みます。
しかし、質問されないだけで、条件は先に決まっています。買取サイトの利用規約には、たとえばこう書かれています。
・「盗品その他犯罪行為により取得したものではなく、お客様が合法的に売却する権限を有する商品」であること
・「第三者から譲渡されたギフト券を申し込む行為」の禁止
申し込むと、いま挙げた条件に当てはまると申告したことになります。質問されなくても、同意した扱いになります。
そして、もうひとつあります。疑わしいと判断されたとき、その理由は説明されません。
つまり、質問されないまま手続きが進み、止まるときは理由なく止まります。
記録に残るのは、売った人です
預かって売ったカードが、あとから問題のあるものだと分かった場合、たどられるのは取引の記録です。記録に残っているのは、申し込んで、本人確認を受けて、入金を受け取った人、つまりあなたです。
「頼まれただけ」という事情は、記録には残りません。
断っていい依頼
次のどれかに当てはまるなら、引き受けない理由として十分です。
- 自分が買っていないカードのコードだけを渡され、売ってくるよう頼まれています。
- カードの入手経路について、「聞かないでほしい」と言われています。
- 売った代金を、別の口座に送るよう指示されています。
- 報酬として、売却額の一部をもらう約束になっています。
- 「名前を貸すだけ」「窓口になるだけ」だと説明されています。
- 今日中にという期限を切られ、返事を急かされています。
1つでも当てはまれば、断って構いません。理由を説明する必要もありません。
一方、自分のカードを売る場合は問題になりません
持ち主が自分に移っているなら、自分のカードを売っているだけです。
- 家族や友人からもらったカードを売る
- プレゼントで受け取ったが、使い道がないので売る
- 自分で買ったが、使わなくなったので売る
分かれ目は「カードの持ち主が誰か」です。もらったのなら、持ち主はあなたです。預かっているだけなら、持ち主は頼んだ相手のままです。
もらったものを売ることへの抵抗感については、もらったものを売るのは悪いこと?でも扱っています。
そのまま使える断り方
理由を作らなくて構いません。買取サイト側の事情にすれば、角が立ちません。
「振込が本人名義の口座にしか行かないから、代わりに売っても渡せないよ」
「断られても理由は教えてもらえないらしくて、自分のぶんしか出してないんだ」
どれも、実際に買取サイトで行われていることです。
それでも引き下がらない相手や、「もう話は進んでいる」「断ったらどうなるか分かるよね」といった言い方をする相手であれば、その依頼は頼みごとの範囲を超えています。そうした言い方をされたときの動き方は、「闇バイト」でギフトカードを買わされるにまとめています。
もし、すでに売ってしまったら
責める話ではありません。次の一回を止めることが先です。
自分で相手と話をつけようとしないでください。弁償しようとする、話し合って収めようとする、どちらも、次の一回を呼びます。
まとめ
- 買取は「あなたが売った」という取引として記録されます。頼んだ相手の名前は残りません
- 本人確認も、本人名義の口座への振込も、すべてあなたに対して行われます
- 入手経路は、ふつう聞かれません。ただし規約で「正規に購入したもの」「第三者から譲渡されたものは申し込まない」と条件が先に決まっていることがあり、断られても理由は説明されません
- 「名前を貸すだけ」という取引は成立しません。あなたが当事者そのものになります
- コードだけ渡された/経路を聞くなと言われた/代金を別口座に/報酬をもらう約束、1つでも当てはまれば、断って構いません
- もらったカードを売るのは問題ありません。分かれ目は「カードの持ち主が誰か」です
- 断り文句は作らなくて大丈夫です。買取サイトの仕組みをそのまま伝えれば足ります
- すでに売ってしまったら、記録を残して #9110。怖いと感じるなら 110。自分で収めようとしないこと
参考(出典)
- 古物営業・古物商許可制度の概要(警察庁「古物営業・質屋営業について」)