「ギフトカードで払って」は詐欺のサイン|請求・還付金・親しい相手を装う手口
「ギフトカードで払って」と求められたら、相手が誰であってもまず詐欺を疑ってください。正規の料金請求で支払い手段にギフトカードのコードを指定されることは、まずありません。コードは伝えた瞬間に使われて取り戻せないため、急かされてもその場で応じず、消費者ホットライン「188」や警察相談専用電話「#9110」に相談するのが最も確実な対処です。
「料金が未納です」「ウイルスに感染しました」と言われ、 アップルギフトカードを買ってコードを教えるよう求められることがあります。 この求めは、ほぼ確実に詐欺です。落ち着いて対処してください。
なぜ詐欺師はギフトカードを使わせるのか
ギフトカードのコードは、 相手に伝わった瞬間に使われてしまい、取り戻すのがきわめて難しいからです。 銀行振込と違って送金の足取りをたどりにくいため、詐欺師にとって都合がよいのです。
よくある手口
- サポート詐欺:パソコンに偽の警告を出し、「修理費用をギフトカードで」と求める(→偽警告の閉じ方と見分け方)
- 未納料金の名目:「有料サイトの未払いがある」とショートメールや電話で迫る
- サクラサイト・romance系:やり取りの相手が「ギフトカードを買って」と頼んでくる
- 公的機関をかたる:税金や還付金を口実に、ギフトカードでの支払いを求める
どの手口も、「今すぐ」「誰にも言わずに」と急かすのが特徴です。
名乗られやすい相手と、実際のところ
手口の文面は毎年変わりますが、「誰を名乗るか」の型はだいたい決まっています。
| 名乗ってくる相手 | よくある言い分 | 実際のところ |
|---|---|---|
| 公的機関(税・年金・自治体など) | 「未納の税金があります」「還付の手続きに費用が必要です」 | 公的な支払いは納付書・口座振替・指定された納付方法で行われます。ギフトカードのコードで納付とする制度はありません |
| 大手通販・配信サービス | 「アカウントに未払いがあります」「復旧に必要です」 | 料金はそのサービスに登録した支払い方法で処理されます。コードを電話やメールで聞き出すことはありません |
| パソコンの警告画面・サポート窓口 | 「ウイルスに感染しました」「この番号へ今すぐ」「修理代をギフトカードで」 | 本物のサポートが、画面いっぱいの警告と電話番号で急がせることはありません。修理代の受け取り方としても不自然です |
| 通信会社・電力などの契約先 | 「本日中に払わないと止まります」 | 契約先の請求は請求書や会員ページで確認できます。支払い方法はあなたの契約に紐づいています |
| 知人・恋人・SNSで知り合った相手 | 「困っている。ギフトカードを買って番号を送って」 | アカウントの乗っ取りや、なりすましのことがあります。ふだん使っている電話番号など、別の手段で本人に直接確認してください |
| 勤務先の上司・取引先 | 「至急、会社用に買っておいて。あとで精算する」 | 経費の立て替えをチャットだけで指示する運用は考えにくいものです。社内の正規の連絡手段で確かめてください |
表の「よくある言い分」の列はいくらでも言い換えられますが、「実際のところ」の列は、どの行もほとんど同じことを言っています。 本来の支払いは、あなたの契約や制度と結びついた方法で行われます。
Apple自身が、同じことを書いています
発行元であるApple自身が、ギフトカード詐欺についてのページを出しています(2026年6月30日公開)。以下は、その発行元の言葉です。
Appleギフトカードは、Appleから製品やサービスを購入する場合にのみ利用できます。誰かがAppleギフトカードを使ってAppleが販売していないものを購入するように要求してきた場合、詐欺の可能性があります。
使えない支払いの例として、Appleは次の2つを挙げています。
| Appleが挙げている例 | 具体例(原文のまま) |
|---|---|
| 請求書 | 公共料金、借金の返済、医療費など |
| 政府機関の手数料 | 税金、移民関連の費用、社会保障費用など |
コードの扱いについても、はっきり書いています。
ギフトカードの裏面に記載されている番号を、よく知らない人や会ったことのない人には教えないでください。詐欺師がその番号を入手すると、あなたが法執行機関(警察)やAppleサポートに連絡する前に、カードの資金が使われてしまうおそれがあります。
「連絡する前に使われてしまう」という書き方です。気づいて動くまでの時間が、そもそも無いということを、発行元自身が認めています。
Appleが挙げる、共通する手口
Appleは、詐欺師に共通する動き方を5つ挙げています。
電話、テキストメッセージ、メール、またはソーシャルメディアを通じて連絡する
パニックと切迫感を生み出す
ギフトカードを使った支払い、金銭的な支援、贈り物を要求する
ギフトカードの購入方法について具体的な指示を与える
ギフトカードの引き換えコードを要求する
上の表で並べた「誰を名乗るか」は毎年変わりますが、この5つの動きは変わりません。判断するときは、名乗ってきた相手より、この5つの動きのほうを見てください。とくに4つめの「購入方法について具体的な指示を与える」は、正規の請求では起こりません。
絶対にやってはいけないこと
- コードを写真で送ったり、読み上げたりしないでください(伝えた時点で終わりです)
- 相手に急かされて、その場で判断しないでください
- 「解決するため」と言われても、追加で買い足さないでください
そのまま使える「断り方」
詐欺の電話やメッセージは、あなたに考える時間を与えないことで成り立っています。 そのため、いったん会話を止める一言を用意しておけば、その手口は成立しなくなります。 理由を説明する必要も、相手を言い負かす必要もありません。
- 電話なら:「いったん切って、家族に確認します」
- しつこいときは:「一度こちらから、自分の知っている窓口にかけ直します」
- 店頭で迷ったら:「今日は買いません。確認してからにします」
- 知人やSNSの相手なら:「ごめん、電話で直接話せる?」
- どうしても言いにくければ:「ギフトカードでの支払いはしないと決めているので」
どのくらい起きているのか
警察庁の暫定値では、2026年上半期の架空料金請求詐欺は3,115件(前年同期比 +8.5%)、被害額74.6億円でした。
名目べつの認知件数を、下の表にまとめました。
| 名目 | 認知件数(2026年1〜6月) |
|---|---|
| サポート名目(ウイルス除去など) | 735件 |
| 有料サイト利用料金等の名目 | 252件 |
| 訴訟関係費用等の名目 | 24件 |
| 名義貸しトラブル等の名目 | 7件 |
| その他の名目 | 2,094件 |
電子マネーやギフトカードで払わせる形が目立つのは、表のなかのサポート名目です。
確認された場面(新しい順)
当サイトが確認した時点の日付を付けています。手口は入れ替わります。古いものが今も出回っているとは限りませんし、ここに無い言い方をされることもあります。新しく確認しだい、上に足していきます。
7月29日 「未納料金があります。本日中に」と電話やメッセージが来る
期限を切って、放置すると大変なことになると思わせる型です。話が進むと「今日中の入金は難しいので、コンビニでギフトカードを」と誘導されます。身に覚えのある請求であっても、確認は、請求書や会員ページなど、自分がもともと知っている経路で行ってください。届いた連絡に書かれている電話番号やリンクは使わないでください。
7月29日 税金・還付金・給付金の名目で求められる
「未納の税金がある」「還付の手続きに費用がかかる」といった形です。公的な支払いは納付書・口座振替・指定された納付方法で行われます。ギフトカードのコードで納付とする制度は存在しません。役所を名乗る連絡が来たら、自分で調べた窓口の電話番号にかけ直してください。連絡に書かれていた電話番号は使わないでください。
7月29日 やり取りを重ねた相手から、少額から頼まれる
SNSやマッチングで親しくなった相手、あるいは知人を装ったアカウントから「事情があってカードが使えない」と頼まれる型です。最初は少額から始まり、やり取りが続くにつれて金額が上がっていくのが特徴です。金額が大きいか小さいかにかかわらず、「ギフトカードのコードを送らせる」という形そのものに注目してください。本人かどうかは、ふだん使っている電話番号など別の手段で確かめられます。
遭ってしまったら/怪しいと思ったら
一人で判断せず、公的な窓口に相談してください。
- 消費者ホットライン「188」(最寄りの消費生活センター)
- 警察相談専用電話「#9110」(緊急時は110番)
- 購入したギフトカードのレシートは、捨てずに保管してください
早く相談するほど、対応の選択肢が残ります。
どこまで進んだかで、やることが変わります
「もう全部だめだ」と感じてしまうかもしれません。 しかし、どこまで進んだかによって、できることは変わります。まず、自分がどの段階にいるかを確かめてください。
相談するときは、いつ・どこで・いくら・誰に言われたのかが分かる材料があるとスムーズです。 うろ覚えでもかまいません。思い出せる範囲で相談してください。きちんと整理してから相談しようとして遅くなるほうが、もったいないくらいです。
家族に伝えておきたい、たった一行
手口はこれからも増えますし、文面も年々うまくなっています。 だから、手口を全部覚える必要はありません。家族で共有するなら、次の一行だけで十分です。
お金の支払いをギフトカードで求められたら、それは全部ニセモノ。
そしてもう一つ、あわせて伝えておきたいことがあります。 「迷ったら、いつでも電話していい」という一行です。
詐欺は「誰にも言わないでください」と孤立させることで成り立ちます。 反対に、相談していい相手がいると分かっているだけで、途中で止まれます。 家族に「引っかかったら怒られる」と思われてしまうと、その時点で相談してもらえなくなります。 責めない空気をつくっておくことが、いちばんの防止策です。
出典
- Appleサポート「ギフトカード詐欺について」(Apple・2026年6月30日公開・2026年8月14日閲覧)
まとめ
「ギフトカードで支払って」と求められたら、相手が誰であっても詐欺を疑ってください。 コードは伝えたら戻せません。急かされても、その場で応じず、 188・#9110に相談してください。
- 判断の軸は、支払い方法に置いてください。公的機関も正規のサービスも、支払いをギフトカードで求めることはありません。
- 名前をかたられた企業も、被害を受けている側です。届いた連絡が本物とは限らないと受け取ってください。
- 断り方は「いったん切って確認します」で十分です。説得も説明も要りません。
- 買っただけの段階なら、まだできることがあります。コードを削らず、レシートを持って購入先に相談してください。
- 伝えてしまっても、早く動けば選択肢は残ります。追加で買い足すことだけは、必ずそこで止めてください。
- あとから来る「取り戻します」型の勧誘は、二次被害の入口です。先に費用を求める相手には応じないでください。
なお、ここまで説明した詐欺の手口は、「不要なギフトカードを売る買取」とは まったく別の話です。買取自体は、正規の業者を選べば安全に利用できます (安全ガイド)。
本記事は一般的な情報提供です。被害の際は速やかに公的窓口へご相談ください。
参考(出典)
- 手口べつの認知件数・被害額(2026年上半期・暫定値)(警察庁 広報資料「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について」 p.2)