買取額の90%が手数料 振り込みは2年後|NPO法人 消費者機構日本が電子ギフト買取サイトに求めた是正
特定非営利活動法人 消費者機構日本は、電子ギフトの買取サイトに是正を申し入れています。 申込画面で初期状態からチェックが入っている「お急ぎ依頼」について、利用規約に、買取額の90%を手数料として差し引くとあり、その依頼をしない通常の買取は振込が2年後とあったという内容です。
特定非営利活動法人 消費者機構日本は、内閣総理大臣の認定を受けた特定適格消費者団体です。以下では「NPO法人 消費者機構日本」と書きます。 以下、同機構が公表している内容を引用します(NPO法人 消費者機構日本「電子ギフト買取サイトについて」)。
何があったか
多数寄せられている被害情報の概要
- 申込画面では「お急ぎ依頼」という項目が初期状態でチェックされており、「お急ぎ依頼」の説明は長文の利用規約内にしかなく、規約第4条19項には「お急ぎ依頼の場合は買取額の90%を手数料として差し引く」と記載されていた。
- ホームページには、振込手数料、消費税、登録料、査定後の減額など違法な手数料は一切いただかない、と記載されているが、申込画面では初期状態で「お急ぎ依頼」にチェックがされており、「お急ぎ依頼」での買い取りの場合、振込金額(買取金額)の90%を手数料として差し引いて支払うとされていた。
- 「お急ぎ依頼」での買い取りとしなかった場合の通常の買取額の振込時期は、通常2年前後、最大10年以内とされており、売主側(消費者側)はギフトコードを渡してしまっているにもかかわらず、その対価の支払いを長期間受けられない。
「お急ぎ依頼」を選べば、買取金額の90%が手数料として引かれます。 選ばなければ、振込はお申込み日より通常2年前後、最大10年以内です(第22項)。
そして、コードは申込フォームを送った時点で相手に渡っています。 同じ規約には、次の条項もあります。
(6) 当社は一度お申し込み頂いた商品の返還にはいかなる理由があっても応じられないこと。
——買取ヤマトの「ご利用規約、個人情報保護方針」(2026年8月29日に確認)
申し込みから2年間、お金も入りませんし、ギフトカードも戻りません。 NPO法人 消費者機構日本が「その対価の支払いを長期間受けられない」と書いているのは、この状態のことです。
ギフトカード総研編集部も、規約を実際に確認してきました
ニュースを受けて、2026年8月29日に、3つのサイトの利用規約と申込ページを実際に取得して確かめてきました。
| 何が | どう書かれているか | 3サイトの状況 |
|---|---|---|
| 「お急ぎ依頼」の手数料 | 買取金額の90%を手数料として差し引く(第19項) | 3サイトとも同じ |
| 通常の買取の振込時期 | お申込み日より通常2年前後、最大10年以内(第22項) | 3サイトとも同じ |
| 申込画面のチェック | 「最短30分、お急ぎ依頼をします。」に最初からチェックが入っている | 3サイトとも同じ |
条文は、次のように並んでいます。太字にしたのが、NPO法人 消費者機構日本が是正を求めた第19項と第22項です。
(16) 日本国で使用することを前提として発行されている商品であること。
(17) 買取お申し込み頂いたギフト券(ギフトコードその他商品券類含む)において、無効化、ロック、保留、停止等、使用できない状態、申告額面に相違があった場合、当該商品は不良(エラー)と判断され当社に手数料として申告額面の80%を支払うこと。
(18)取引成立(お申し込みフォーム送信)後、ギフト券が不良(エラー)となった場合お客様は当社に買取金額(受取金額)ではなくお申し込み時の額面相当額の2倍以上の賠償責任を負い、当社に請求に従い支払うものとする。
(19)最短30分、お急ぎ依頼をした場合、買取可能なギフト券(ギフトカードその他商品券類含む)全てを対象とし、振込金額(買取金額)の90%を手数料として差し引いてお支払いします。最短30分、お急ぎ依頼をします。をチェック状態でフォーム送信頂くことでお申込み頂けます。
(20)買取依頼のギフト券および商品券類の申告に相違があった場合、不良(エラー)手数料を買取金額から差し引くものとする。
(21)買取依頼の申告に相違があった場合、買取金額は当社で自由に変更することができるものとする。
(22)お急ぎ依頼のない通常お振込はお申込み日より通常2年前後、最大10年以内とする。
(23)お支払可能なギフト券及びに商品券類は、当社が買取可能と判断した場合のみとする。
——買取ヤマトの「ご利用規約、個人情報保護方針」第16項〜第23項(2026年8月29日に確認)
申込ページのHTMLでは、「最短30分、お急ぎ依頼をします。」のチェックボックスに checked が入っていました。 3サイトともです。
自分でチェックを入れなくても、そのまま送信すれば第19項が適用される状態です。
最初からチェックが入っていた項目は、3つありました。
- 最短30分、お急ぎ依頼をします。
- 入力内容に誤りがないか確認しました。
- お申込み内容と口座名義は一致しています。
自分で確認したという申告も、最初からチェックが入っています。 一方で、「当社、利用契約及び個人情報保護方針に同意します。」にはチェックが入っていませんでした。 同意だけは自分で押させて、確認したという申告は最初から入っている、という並びです。
3社の規約は、会社名以外まったく同じでした
3つのサイトの規約を並べて比べたところ、違っていたのは1行だけでした。 その1行は、冒頭の「本規約は、株式会社◯◯が提供する買取サービス」という会社名の部分です。 残りの全文言は、句読点まで同じです。
条項の数も33で共通しています。
同じなのは規約だけではありません。 3サイトとも、WordPressの固定ページのIDまで一致していました。 利用規約が3番、申し込みが281番、よくある質問が916番、運営会社情報が881番です。 ページの題名も並びも同じです。同じ型から作られたサイトが、別々の会社の名前で動いています。
NPO法人 消費者機構日本が触れていない条項もあります
上に引いた第17項と第18項は、NPO法人 消費者機構日本の申入れには出てきません。 ギフト券がエラーと判断された場合に、売った側が払うという向きの条項です。 第17項は申告額面の80%、第18項は額面相当額の2倍以上とされています。
さらに、同じ規約にはこの条項もあります。
(29)手数料が買取価格を上回った場合や当社に損害が発生した場合などは、お客様はすみやかに請求額を当社に支払うものとする。
——買取ヤマトの「ご利用規約、個人情報保護方針」第29項(2026年8月29日に確認)
手数料が買取価格を上回ることが、条項として想定されています。
このほかにも、次の条項があります。
(15) Amazonギフトは、種類別商品券ではないこと。(万が一お申込みいただいた場合、ギフト券の返却及び買取代金の支払いには一切応じません。)
(32)エラーや額面申告ミスなどにより1度の最低取引額面を下回った場合、ギフト券の返却及び支払いはいたしません。
——買取ヤマトの「ご利用規約、個人情報保護方針」第15項・第32項(2026年8月29日に確認)
ギフト券が戻らず、代金も支払われない、という場面が2つ書かれています。
ほかの買取サイトはどうなのか、点検しました
読者が次に思うのは、自分が使おうとしているサイトはどうなのかだと思います。 当サイトは業界の買取サイトを台帳にしているので、同じ方法で見てみました。
トップページを1回ずつ取得して、最初からチェックが入っているチェックボックスがあるかを数えました。
| 台帳のドメイン | 84件 |
| ページを取得できた | 80件 |
| 最初からチェックが入っていたサイト | 0件 |
同じ規約の型(固定ページの3番が「ご利用規約、個人情報保護方針」)も、見つかりませんでした。
対象として挙げられている事業者
多数の被害情報が寄せられている事業者名
株式会社ネクストワンが運営する下記サイト
- 買取ヤマト(https://gift-kaitori-ex.com/)
- (注) 本件の対象は株式会社ネクストワン(住所:愛知県名古屋市中村区名駅4丁目24番5号第2森ビル401)が運営するカタカナ表記の「買取ヤマト」になります。類似した名称の買取サイトがございますので、くれぐれもお間違いのないようにお願いいたします。
- ※株式会社ネクストワンは商号を株式会社ネクストに変更し、福岡市中央区天神二丁目3番10号天神パインクレスト1004に移転している。
株式会社ネクストワールドが運営する下記サイト
- 買取.gift(買取.gift)(https://kaitori-senmon-gift.com/)
- ※「買取EX」⇒「買取POINT」⇒「信和ギフト」⇒「アップギフト」からサイト名が変更された
- ※トップページにはサイト名(買取.gift)が表示されておらず、頻繁に名称が変更されるため注意が必要
株式会社Reが運営する下記サイト
- プライム(PRIME)(https://gift-speed-kaitori.com/)
- ※トップページにはサイト名(プライム(PRIME))が表示されておらず、頻繁に名称が変更されるため注意が必要
名前が似ているだけの別のサイトがあります。 NPO法人 消費者機構日本も、間違えないようにと注意を添えています。
申し入れの内容
当機構から申入れしている内容
①景品表示法上の有利誤認表示にあたるものと考えられるため、「お急ぎ依頼」をした場合の手数料についてWeb上の表示で消費者にわかりやすく表示し、取引条件について一般消費者の誤認を招かない措置を求める。
②景品表示法上の有利誤認表示にあたるものと考えられるため、実際に買取代金の振込を受ける時期についてWeb上の表示で消費者にわかりやすく表示し、取引条件について一般消費者の誤認を招かない措置を求める。
③「利用規約、個人情報保護方針」の第4条 (19)(「お急ぎ依頼」をした場合の手数料についての条項)について、景品表示法違反ならびに消費者契約法違反として、是正措置を求める。
④「利用規約、個人情報保護方針」の第4条 (22)(通常の支払時期を「お申込み日より通常2年前後、最大10年以内」とする条項)について、景品表示法違反ならびに消費者契約法違反として、是正措置を求める。
申入書そのものは、NPO法人 消費者機構日本が全文をPDFで公開しています。
NPO法人 消費者機構日本が挙げた確認事項
消費者のみなさんにご注意いただきたいこと
①サイトに特定商取引法に基づく表記がされているか。表記がされている場合は、代表者、店舗運営責任者の表示がされているか。
②サイトに電話番号が記載されているか。記載されている場合は、実際にその電話番号が繋がり、具体的な事業者の対応を得られるか。
③申し込みフォームで初期設定がされている取引条件の項目、内容を確認し、消費者(売手側)に不利な内容がないか。
④申し込みフォーム上ではわからない取引条件が利用規約中に記載されていたり、他のページ上に記載されている取引条件と矛盾がないか、消費者(売手側)に不利益な内容がないか確認する。
その他注意事項
※当該サイトの記載のみで判断せず、インターネット等で評価や口コミ等、当該サイトの評判を調べてみる。ただし、それらの情報も鵜呑みにせず参考程度に留めて判断する。
※電子ギフトを購入した後に買取業者に売却する行為は、電子ギフトの転売にあたるが、発行者により転売が禁止されている電子ギフトが多く、転売により損害を被った場合に発行者から保証を得られることはまず考えられない、ということを念頭に置く。
④の「利用規約中に記載されていたり」を確かめるときは、規約のページで「手数料」と「振込」を検索してください。 スマートフォンはブラウザのページ内検索、パソコンはCtrl+Fで探せます。 買取率が書かれている場所と、手数料や振込時期が書かれている場所は、別のページにあることがあります。
当サイトが載せている情報との関係
当サイトは、特定商取引法にもとづく表記と古物商許可の番号を、掲載している各サイトについて調べています。 測っているのは条件のつかないベース率だけで、その測り方は換金率の測定方法と、測っていないことに開示しています。
アップルギフトカードについて、Appleは「法律により要求される場合を除き、再販売、返金、または交換はできません」としています(Apple公式)。 売る前に知っておくべきことは、アップルギフトカードを売っていいのかにまとめています。
初めて使うサイトに申し込むときは
初めて使うサイトへ申し込みを行う際には、規約をご確認のうえ、このようなサイトには気を付けてください。
見るところは、NPO法人 消費者機構日本が挙げた4つです。 特定商取引法にもとづく表記があるか、電話番号が実際につながるか、申込フォームに最初から入っているチェックはないか、 そして申込フォームからは見えない条件が利用規約に書かれていないか。
規約は長いので、「手数料」と「振込」の2語をページ内で検索するのが早いです。 スマートフォンはブラウザのページ内検索、パソコンはCtrl+Fで探せます。